家の新築や屋根葺替えに際しての労力提供は、主にクミアイや時にはコウジュウなど地縁関係の家々が担当する。これは村落内の互助協同作業の一種として行われるもので、一種のユイである。したがって、主屋の新築や屋根葺きなど大きな作業の場合は別にして、普通の作業であればジシンルイ・イッケ・親戚だからといって特に目立った手伝いの義務はなかったようである。もっとも、同じ村落内にいれば、手伝いに出かけることは多かったようであるが。
手伝いとは別に、大きな主屋の屋根の葺替えや主屋新築の上棟式などには、有力なイッケ(主に本家)や濃い親戚などから、ハンダイ(大きな丸い器)一対に赤飯が山盛り届けられ、手伝いの人々に振舞われた。このように、親戚が労力提供とは異なる方法で施主を援助するのは、不祝儀の時とよく似ている。