縁談を取りまとめる人はハシカケと呼ばれ、縁談が整ったあとに結婚の中だちをする人が仲人だと考えられていた。ハシカケと仲人が同一人であることも多かったが、仲人は別に村落内の有力者や本家の人に依頼する例も珍しくなかった。
仲人は一般にオヤブンと称され、実際にはオヤブンサン・オッカサンあるいはニイサン・ネエサン、オトウサン・オカアサンなどと呼ばれていた。オヤブンに対し、仲人をしてもらった若夫婦はコブンである。オヤブンとコブンのつきあいは「仲人三年」などといわれ、三年間限りだともされているが、実際にはオヤブンが亡くなるまで続くことが多かったという。
つきあいの内容は、盆にはそうめんやひやむぎ、年の暮れには新巻鮭を持って仲人子が仲人親宅へ挨拶に行った。また、仲人親宅で人手を要する仕事があると手伝いに行ったり、仲人親が亡くなると家族に混じって野辺送りのトモになったりもした。一方、仲人親は仲人子に子どもができると、誕生や初節供などに祝いの品を贈る。これらの経済的負担が大きいので、裕福な人でないと仲人親にはなれなかったという。