既存地域の自治会

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確実な年は明らかでないが、昭和四十年代に入ると、市域では自治会の結成をみる。新たな住民がふえはじめると、旧来の部落会やコウジュウという組織では、新たな住民を結集できなくなったためであろう。
 平成七年現在、市域には、自治会もしくは自治会相当の地域自治組織が一六〇余存在するが、これらの結成は、大きく三段階に分けられる。まず第一段階は既存地域においでであり、つづいては大小不動産業者が田畑や丘陵地を拓いて宅地造成した地域においてである。そして三段階目は、多摩ニュータウン建設地においてであった。
 既存地域とは近世村をうけつぐ昭和三十年代以前からの居住地で、ここには、先に述べた区・部落会やコウジュウ(講中)が長い間にわたって機能してきた。たといまれに他からの移住者があったとしても、多数の古くからの居住者の組織に順応させるかたちで、それまでの自治組織を継承してきた。しかし、旧来の家々の居住地である集落の周囲や、ときには集落の中に少しずつ新移住の家がふえはじめると、それらの家々を無視することはできなくなり、部落会は新移住の家々をメンバーに加えながら、組織の再編を迫られることになった。おおよそこのようにして、自治会結成の動きがでてきたのである。
 既存地域に結成された自治会には、従来の地区を核としたものと、地区の下位単位であったコウジュウを核としたものとがあった。前者の例には関戸自治会・東寺方自治会などがあり、当然これらは会員数も多くなり、平成七年現在、関戸自治会は一七〇〇世帯、東寺方自治会は七三〇世帯の会員を擁している。後者の例には乞田(こった)地区の上乞田自治会・大貝戸(おおがいど)自治会・永山自治会などがある。上乞田自治会は、乞田地区の谷戸根・久保谷・平戸という比較的小規模な三コウジュウの連合したものであり、大貝戸自治会と永山自治会は、大貝戸コウジュウ・永山コウジュウというそれぞれ一つのコウジュウを核にして結成された自治会である。したがって、会員数も前者に比べると少なく、平成七年現在、上乞田自治会一一五世帯、大貝戸自治会五八世帯、永山自治会五二世帯である。乞田の戦前のコウジュウと戦後の自治会の関係は図2-7のようになっている。

図2-7 コウジュウと自治会