多岐にわたる活動内容をいくらか整理してみると、①地域の環境保護と安全対策 ②親睦行事 ③学習会 ④広報活動 ⑤役所の補助業務 ⑥その他ということになろうか。
この①から⑥について述べる前に、自治連が、平成二年に、各自治会が年間を通じて実施している行事についてアンケート調査をした結果があるので、参考までに表2-6に掲げておこう。清掃活動のほかは、新年会・盆踊り・ドンド焼など親睦目的の行事が上位を占めている。
活動の種類 | 団体数 |
清掃 | 25 |
広報 | 21 |
新年会 | 19 |
盆踊り | 18 |
どんどん焼き | 12 |
もちつき | 10 |
運動会 | 9 |
忘年会 | 9 |
花火大会 | 5 |
映画会 | 5 |
旅行 | 4 |
講演会 | 4 |
クリスマス会 | 3 |
七夕 | 1 |
その他 | 22 |
まず①地域の環境保護と安全対策についてであるが、その一つ清掃活動については、いま述べたように多くの自治会が行っている。交通標識や街灯の設置・管理も、重要な活動に含まれている。既存地域には消防団が組織されており、これは自治会と不即不離の関係にある。既存地域以外でも、永山ハイツ住宅管理組合(約三〇〇世帯)のように自衛消防組織を編成して、年に何回か訓練を繰り返している例もみられる。また一般的に言えることは、阪神大震災以後防災意識が特に高まり、自治会単位とか小学校区内の自治会が一つの単位になって、合同で訓練を行ったり対策会議を開いたりするようになった。
②の親睦行事は自治会活動のはなやかな側面で、先のアンケート調査結果からもうかがえるように、多彩である。そのうちの一つ盆踊り大会というのは、各自治会で好まれている行事だが、これは盆期間中に盆行事の一つとして行われるものとは異なり、日は七月下旬か八月上旬の土曜日か日曜日に設定されたイベントとしての夏祭りの一種のことである。花火大会とセットにするなど、多くの自治会で工夫をこらして行っているが、そのうちで、落合自治連合会が商店会との共催で多摩センター駅前で実施している盆踊り大会は、もっとも規模の大きいものといえよう。永山団地自治会の盆踊り大会は別名お祭りとも呼ばれて盛大で、大人神輿・子供神輿も登場し、盆踊りと神輿の取りあわせというように完全な神仏混淆であるが、イベントであるから神仏混淆などまったく意に介していない。新しいこの団地には固有の神社が存在するわけではなく、たまたま他から譲り受けた神輿を賑やかしのため用いているだけなのである。それにしても、この種のイベントに、多くの自治会でわが国伝統の盆踊りや祭りと銘うっている点が興味深い。
写真2-36 自治会主催の夏祭り
写真2-37 盆踊り
その他の親睦行事として、運動会・スポーツ大会、敬老会などがある。
写真2-38 うどん日待ち(永山自治会)
ところで、神社を中心とした祭りは既存地域を中心に盛んであるが、これを宗教行事と捉えているのは氏子の人だけで、多くの人にとってはイベントとしての祭礼だといえよう。そのため、神社所在地の各自治会はもとより、周辺の自治会においても、自治会の名で寄付がなされているのである。自治会行事としてクリスマス会を行っている場合も、クリスマスの捉え方は同様である。
なお、既存地域においては、御嶽講・念仏講などの信仰的講行事も、親睦的色彩をより強めながらもなお盛んに行われている。しかし、かつてこれらは区や部落会の行事としての性格を持っていたが、現在ではあくまでも有志(昭和三十年代以前から居住の家々)の行事であって、自治会活動とは全く切り離されている。
③の学習会は見学会や講演会を開催することで、活動の活発な自治会においては熱心に行われている。
④の広報活動としては、先にも触れた機関紙の発行などを行い、会員相互の連絡、未加入者の勧誘などが行われている。自治会によっては立派な機関紙が長年にわたって継続的に発行されており、そのときどきのかかえる問題や活動の推移を知る好資料となっている。
⑤役所の補助業務とは、市役所の発行する広報紙の配布、その他連絡事項の伝達で、自治会の会長から組長・班長などをとおして会員に徹底されている。
⑥その他には、不祝儀への対応がある。不祝儀に際し、多くの自治会では会として香典を供え、葬式の手伝いなどを組や班単位で行っている。一方、出産や結婚の祝いには自治会はまったくかかわらない。ただ、既存地域において、旧来の家々同士では祝儀・不祝儀に際しては現在でも濃密なつきあいがなされているが、これは自治会活動に組み込まれているわけではない。
集会所を所有している自治会では、この管理・運営も重要な仕事の一つとなっている。