図3-11は落合地区中組の峯崖房次郎氏(嘉永五年生まれ、大正十四年没)が大正二年と三年に記した農事日記「萬年中日記控帳」をまとめ、一年間の生産暦として図にしたものである。当時の丘陵地帯での生産の様子がよく表われている。水田での水稲作り、畑での麦、陸稲(おかぼ)、さつま芋、粟、小豆、大豆、蕎麦(そば)作り、養蚕と桑園の管理、山林での炭焼き茅刈りが行われたことが示されている。こうした主な農作業の間に草刈りや落葉掃き薪切りなど、周囲の山野を利用した細かい仕事が日常的に行われていた。
図3-11「萬年中日記控帳」に示された生産暦
(『多摩市文化財調査資料』より)