〈押し草〉

155 ~ 156
基肥として草を両手で田へ押し込む。この押し草には、乾燥させた草を入れる家と、カチキと呼ばれる緑肥を入れる家があった。乾燥させた草は、前年の夏に畑でむしった草や山林で刈った下草などを良く乾し、納屋や家の二階へ上げておいたものである。また、その年の五月中に木の若葉や藤の葉を扱いで乾したものも使う。緑肥は、自家で食べるのに作っている辛子菜や小松菜など春野菜の取り残しなどが使われた。この緑肥がカチキと呼ばれ、田へ押し込むことをカチキオシと呼んでいた。これらの押し草は、作業の前夜にショイカゴ(背負籠)や天秤で担いで、田へ運んでおいた。