起源

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籠細工の始まりは伝承としては由井(ゆい)村字宇津貫(八王子市宇津貫)からとされている。確実な記録として残されているのは八王子市小比企町の磯沼家文書においてであり、天保十四年に書かれた「農間渡世向名前書上帳」に笊目籠渡世の者が宇津貫村に五名、近くの大船村、新横山村にそれぞれ一名いることが記されている。
 多摩村での始まりは、由井村宇津貫から伝えられたとの伝承がある。これについては昭和十年発行の『東京府史』第三巻に「南多摩郡由木村に於ける目籠等の竹細工は、嘉永年間田口久兵衛といふ者が、これを同郡由井村から伝習して製造したのに始まり、又同郡多摩村の笊籠等は七〇年前由木村これを伝へたものだといふ。」との記載がある。又別の項には「故に南多摩郡由木・多摩両村の如きは、全村の七割が竹細工に従事している状態である。」とあり、当時の目籠生産の盛んな様子を伝えている。