〈編組〉

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ヘネは編み始める前に一日水に浸しておくと少し水分を含んで柔らかくなり編みやすくなった。水に浸けるには近くの川に行っていた。用意したヘネは次の順番で編んでいく。まずシキフミといい、六角目に編んでいく。ジョウメズの三つの大きさのオヤ、ナカ、コはそれぞれオヤ二二本×二二本×二一本と一本のマワシ、同じくナカ二一本×二〇本×一九本と一本のマワシ、コは一八本×一八本×一七本と一本のマワシとなる。
 次にヨコマワシをする。これはシキフミの最後の一本がシキからそのままマワシダケとなり、螺旋(らせん)状にマワシが上っていくことをいい、このヨコマワシが終わった段階のものをハザルという。このハザルの縁に芯を外側からあて、縁を巻いていく。この工程がフチマキであり、フチマキ用の竹は別に用意し、芯になる竹はフチマキ用の太い篠のヘネを取った残りをあてがう。
 フチマキが終わると一応完成であるが、籠の強度を増すために力竹を底から縁にかける。これをスジイレといった。力竹(ちからだけ)には真竹(まだけ)を使った。真竹は近年は鶴川の大蔵(町田市)でもらってくるが、以前は落合地区の長坂谷戸に太い真竹の生えるところがあり、そこへ買いに行った。フチマキとスジイレの作業をシアゲともいった。
 最後はシリカガリで、底から胴に立ち上がる角の部分に一本ヘネをあてがい、これを別のヘネでからげて巻いていく。磨耗の激しい部分の補強の為の作業である。これで編組の作業は終わる。
 目が細かく、スジとシリカガリの入るジョウメズは手間がかかり、落合でも作る家は二、三軒だった。他の多くはチュウヒラ、オオヒラなどの総称してザツメカイと呼ばれるものを作っていた。

図3-15 ヘネを六角形に編む手順

 ザツメカイは六〇枚をまとめてヒトッコレといった。ジョウメズの場合は三枚一組で二〇枚がヒトッコレだった。
 ジョウメズの一組のオヤ、ナカ、コを作るにはシキフミ二時間、ヨコマワシ二時間、フチマキ一時間、スジイレ、シリカガリ四〇分くらいの見当で約六時間で一組作っていた。もちろんヒトッコレ単位で作るからそれぞれの工程の時間は概算である。家族四人だとしてヒトッコレ作るにはジョウメズで十日位かかった。