図3-16 メカイ作りの用具
シノキリガマ(篠切鎌)は刃巾七五センチメートル、全体の長さ五九五センチメートルで元々は養蚕用の桑の枝切り用のものだったが、これを山野での篠切り用に使った。
メケエボウチョウ(目籠包丁)は目籠作り独特の形をした刃物で、ほとんどこれ一本で仕事をこなすことができた。先端部上側の突き出しているところはツノと呼び、スジを入れるときにこれで六角目を大きくして差し込む。反対側の丸く湾曲した刃先の部分はスジの曲がる部分を薄く剥ぐための形である。普通の真竹を材料とした籠編みでは、日本刀を三〇センチメートル前後に切断したような形の竹剥ぎ包丁をつかう。これと大きく違うところは真竹細工の包丁は割ることを主眼としたために、刃の厚さを厚くし、刃先を鋭利にしないように調整するのに対し、このメケエボウチョウは刃の厚さを薄くし、よく切れるように刃先を鋭くする。
従って材料の特性や包丁の使い方を知っている鍛冶屋でないと打つことができなかった。古くは落合地区下落合に池田鍛冶屋というのがあってそこで目籠の包丁を作っていた。また日野市の露木鍛冶屋では最近まで注文に応じて打っていた。露木鍛冶屋の話では基本の形は守るが、重さは使う人によって少しずつ変えていたという。
オシギリ(押切り)は藁切りに用いるものだが、目籠作りでは篠竹の長さを揃えて切るために用いられた。