山林の管理のために、冬の間にモヤと呼ばれる下草刈りや下枝払いが行われた。炭焼きのために山林を伐採し陽当りがよくなると笹や草が生い茂り、様々な雑木が生えて成長する。そこで、木刈り鎌を持って山へ入り、下草を刈ったり下枝を払ったりするのであった。伐採した切り株からも多くの枝が芽吹いて伸びているので、勢いの良い枝を残して後は切り払うのであった。そうした山林は十年ほどはクズ掃きだけしておき、その後、数年ごとに木刈り鎌で下草を刈ったり下枝を払ったりするのである。こうして刈り払ったモヤを、薪となる木枝と、薪にならぬ木や笹、雑草などを山で分ける、これをモヤ分けと呼んでいた。
薪にならぬモヤは、山で焼いて木灰にする。その灰を持ち帰るとすぐにシモヤ(下屋)で広げ、下肥を掛けてコヤシマンノウで良く掻き混ぜて練り込んで寝かし、肥俵や叺へ入れておく。これは、摘田の播種や畑作物の播種の際に使われた。