山林の下枝払いの管理を兼ねた薪取りの前に、山掃除を行う。その山掃除で楢、櫟などの落ち葉を熊手で集めることがクズ掃きであった。多くの農家が山を持っているわけではないので、このクズ掃きは地主の山へ入り取ってくる。山林のない地区の農家は落合地区や乞田、貝取、連光寺地区の山林へクズ掃きに行った。多摩川の対岸の府中方面からもクズ掃きにきており、多摩川へ冬に渡された仮橋を渡るので、仮橋をクズ掃き橋と呼ぶ人もいた。山林のある谷戸の農家は山が近いのでクズ掃きの大籠へ入れて運んだが、山林まで距離のある地域の農家はクズの束を作って運んでいた。
その束の作り方は、稲藁を繋(つな)いだだけのスガイを間隔をあけて三本並べ、その上へ小枝や下草の笹を縦に敷いて、落ち葉を塊にして載せる。落ち葉は熊手で足元へ掻き寄せて塊にする。それを枝の上へ幾つのせても良い。下へ敷いた三本の枝の先の方へクズを多く重ねてスガイで縛り束ねる。束ねた枝の元へ落ち葉を掻き寄せ、叩き締める。これで多くのクズを巻きこんだ束ができる。一抱えほどの束となり、これを担ぐかリヤカーに積んで運ぶのであった。田一反歩に、大きなクズ掃き籠で三〇杯位い入れたそうで、田へ入れると足で踏み込んで土へ潜り込ませていた。また、堆肥にも積んだのである。