サク切り・麦踏み

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大麦が十二月に発芽すると最初のサク切りの一番ザクをする。これは麦の畝に沿って耕し、麦の芽が日向になるように土を麦の畝に寄せる作業である。二毛作田では麦播き前に耕していないので、この麦ザクで稲刈り後に始めて耕すことになる。そのため「田の麦ザクは骨が折れる」といわれるほど一番ザクは一苦労であった。

図3-26 二毛作田を畑にする排水溝と麦ザク


図3-27 排水溝

 年が明けると、一月の内に何度か麦踏みをする。「麦の腰が立つ前に踏む」といわれ、麦が株に育つ前に踏んだ。霜で浮き上がる麦を押さえるのだという。
 三月に二番ザクをする。一番ザクで寄せた土を崩し隣りの畝(うね)へ寄せるので、畝に寄る土は一番ザクとは反対側になる。その時期にはヨノと呼ばれる草がびっしり生えており、その草殺しにもなる。そして、三月中に成長しだした麦の株の間へ土を振り入れる。土を株の間へ入れると株が広がり風通しが良くなり、株の分けつも促された。
 四月下旬から五月上旬には三番ザクとして止めザクをする。これは最後のサク切りで麦の株へ土を寄せる。