写真3-29 関戸地区井上亭の鮎漁(大正12年)
ここで行われた鵜飼いは、川の中を歩きながら二羽の鵜を操り鮎を捕らえさせるものであった。そして、鵜に容易に鮎を捕らえさせるために、幅一尺ほどで長さ八間ほどの細長い網の両端を持つ二人の網持ちが鮎を下流に向けて寄せて行く。鵜を使う者はその長い網の中央を足に結び、網持ちはその歩調にあわせる。網は川下に末広がりにして引くので、遡上する鮎が鵜のもとへ集まるのである。鵜が数匹の鮎を呑み込むと引き寄せ、腰に付けた魚籠(びく)へ吐き出させる。こうした鵜飼いが昭和十年ころまで行われていたのであった。