4 多摩川の堤防工事と砂利採掘

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 かつての多摩川には膨大な砂利があり、河川敷の砂利は現在よりはるかに高く盛り上がっていた。今では想像もつかぬが、一ノ宮地区の堤防に立って対岸の四谷(府中市)が見えぬほどであったといわれる。もっとも当時の堤防が、現在のそれより一メートルほど低かったことにもよるのだが、対岸の人家などは全く見えぬほどで、川筋は盛り上がった砂利の上を、蛇行して流れていたのであった。堤防を越さんとするほどの砂利は、ひとたび洪水がおきると被害を大きくする原因となった。多摩川沿いの集落にとっては、その災害の脅威から逃れられるようになったのは堤防工事にもまして、砂利採掘による多摩川河床の低下が大きく影響しているといわれる。