目次
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民俗編
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第三章 環境と生産
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第四節 生産と人との交わり
2 屋根職
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多摩丘陵は大部分が農業を営む人々が生活しており、暮らしの器である民家は栗や欅等の比較的簡単に手に入る材料で作られ、屋根も山野に生える茅で葺いていた。
屋根を葺くのは専門の職人で、福島県会津地方から冬の農閑期だけ仕事にきており、集団で一か所に寝泊まりし、共同で付近の屋根の葺きかえをした。
写真3-32 屋根葺きを終えて
現在は茅葺きの家もほとんど見ることができなくなり、屋根葺きを生業とする人もいなくなったが、かつては雨露をしのぐ屋根を維持管理する、なくてはならない職業であり、賃金も大工、左官より高かった。
ここではかつて屋根葺きの仕事を会津の職人に学んだ明治三十四年と昭和三年生まれの二人の伝承を記す。