使うのは茅で、その種類は鬼茅(おにがや)、真茅(まがや)、本茅(ほんがや)、黄金茅(こがねがや)、蘆(あし)、葦(よし)があった。その中でいちばんよく使ったのは真茅だった。自分の家を葺く茅は自分の土地か村共有の茅場から毎年少しづつ刈り貯めておいた。職人の方は、昭和二十年から三十年にかけてはあちこちの神社仏閣の葺き替えを頼まれ、たくさんの茅を準備しておく必要があった。それまでは氏子の持ち寄りによって茅は調達できたのが、そのころはできなくなっていたのであろう。それで日野市の方では、茅は名主様と呼ばれた地主の持ち山にたくさんあり、前もって金を払って茅一年分を買っておくようなことをしていた。