6 篠屋

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 篠屋は八王子市堀之内に一軒あった。元々材木屋を営んでおり、そのついでに篠竹も商っていた。昭和三十年ころまで商われた。目籠を作るためには底、胴と縁には長さの違うヘネを用意しなくてはならない。また、スジは篠竹でなく真竹を使った。これらの違う種類や長さの竹をそろえて篠屋では売っていた。それらの竹は神奈川県津久井郡の方から集められたもので、山が深く柔らかくて使いやすいものだった。
 底や胴の為の篠竹は比較的簡単に近くの山で採ることができたが、長さの必要な縁巻き用の篠だとか、スジ用の真竹は生えているところが決まっていて簡単に調達できなかった。そのため篠屋に買いに行く人が多かった。また急ぎの仕事が入ったり、後少しでヒトッコレできるという段階で材料が無くなったりしたときに篠屋まで走ることが多かった。山で採取すれば材料代はただか一山いくらで買うので安かったが、篠屋で買う場合は材料代がかかることになりなるべく自分で調達するようにしていた。