秋から冬

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秋の祭礼のころには、小麦粉で、饅頭(まんじゅう)を作った。蕎麦(そば)の収穫が終わると、手打ち蕎麦を作って食べた。イノコには新米でぼた餅を作ったが、年によっては間にあわないこともあったという。秋の収穫が終わると、大根を干したり、吊るし柿を作ったりした。大根の葉は干葉にして冬の間の青物が少ない時期に煮て食べた。大根は、キリボシ(切り干し)にしたり、タクアンに漬けたりした。タクアンは、塩加減を変え、正月ころから食べるアサヅケ(浅漬け)から梅雨のころまで食べる塩の多いものというように、樽に何本も漬けた。十二月には大掃除や障子張りをして正月を迎えた。

写真4-5 干し柿(昭和48年)


写真4-6 タクアン漬けの準備(昭和49年)


写真4-7 川で白菜を洗う

 この時期は、さつま芋や里芋、大根をよく食べた。山からとってきた茸と茄子の汁のうどんは秋のご馳走の一つであった。里芋、ごぼう、人参、大根などの野菜をたくさん入れたケンチン汁は人寄せのご馳走であった。