貯蔵と保存

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穀物は倉に積んでおくが、米の下積みといって、一番下には粟や黍(きび)のような雑穀の俵を置く家もあった。粟、黍、蕎麦(そば)などの雑穀は長期間保存ができるので、このように俵の下積みにして飢饉にそなえたのだという。
 主食の補いとしても重要であったさつま芋は、畑や家の周辺に穴を掘って貯蔵した。これをサツマアナといった。サツマアナの底はねずみの侵入を防ぐために榧(かや)の枝を置いた。関東ローム層の赤土がさつま芋の貯蔵に適し、三月ころまでは十分に貯蔵ができ、場所のよいサツマアナに上手に貯蔵すると五月まで食べることができた。徳利の形に深く掘ったトックリアナもあった。

図4-2 サツマアナ(左)とトックリアナ(右)

 漬物や味噌、醤油などはミソベヤに入れておいた。ミソベヤは、ダイドコロの一隅を仕切った部屋や、独立した小屋になっていた。

写真4-8 倉庫に並んだ梅干しの瓶


図4-3 ミソベヤ 落合地区の例。昭和30年ごろのミソベヤを記憶により復元した。