2 衣服の調達

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 古くは桑都とよばれた八王子に隣接する多摩市では、養蚕がさかんに行われていた。若い女性の中には、八王子市域の製糸業者へ糸取りの奉公に出る者も少なくなかった。多摩市域の家でも、商品にならない繭を利用して、自家用の絹織物を織ることが行われ、また、現在の青梅付近で生産された木綿糸を購入して機にかけ、ふだんの衣服を作ることもひろく行われてきた。昭和に入り、機織りをする家が次第に少なくなったが、戦後もしばらくまでは、若いころに技術を身につけたというお年寄りの手によって細々と続けられていたが、多摩ニュータウンの開発によって家の移転がすすめられたころから、家の解体とともに不要になった高機(たかはた)を処分した家が多い。

写真4-19 糸車


写真4-20 糸枠(左)と座繰(右)