糯米は、前の日から水に漬けて十分に水分を含ませておく。その糯米を米揚げ笊(ざる)にあけ、ふきんを敷いた蒸籠に入れて蒸かす。途中、水を打ち、強火で蒸しあげた。蒸籠には、四角の木の枠のものと、丸い曲げ物のものがある。また、昭和になってからアルマイトなどの金属の蒸し器も使われるようになった。金属の蒸し器は、おもに残りご飯を暖めるために使われ、蒸籠に比べると容量が少ない。
写真4-41 蒸籠
写真4-42 移動式竈と蒸籠
餅、オコワ、饅頭などは、ふだんの食卓に並ぶものではなく、晴れの日の食物であるが、蒸かすという調理法は日常も行われていた。もっとも多かったのが、さつま芋や里芋を蒸かすことであった。このような芋類は、米を減らさないようにという意味もあって、日常、主食に準ずる食物としておおいに利用されていた。図4-17のように大釜に湯を沸かし、中にシキとよばれた竹を入れ、さつま芋が直接水につかないように加熱するとおいしく蒸かすことができた。釜に山のようにさつま芋を盛って、上から洗い桶やすり鉢をかぶせて蒸かした。朝、大量に蒸かしておき、オコジュウに食べた。
図4-17 釜で蒸かす