目次
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民俗編
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第四章 衣食住
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第三節 食生活
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2 竈・炉と流し
ホウロクの利用
328 ~ 328
茶や胡麻を焙じる素焼きのホウロクもあるが、このあたりでは浅くて底が平らな鉄鍋をホウロクとよんでいる。薄く油をひいてタラシヤキを焼いたり、アラレやカキモチを作ったりするときに使った。
また、てんぷらを揚げるときにもホウロクが使われた。自給自足の生活では油は貴重品であり、てんぷらを揚げるのはモノビとよばれる一日や十五日など特別な日であった。底の浅いホウロクは油を無駄に使わなくてすむのでよかったという。てんぷらを揚げたあとのホウロクは洗わないでおき、次の日にホウロクについている油を利用してタラシヤキを作ったりした。また、蒸かし芋の冷めたものも、薄く切って油をひいたホウロクで焼くとたいへんおいしかった。
写真4-45 ホウロク