雑穀や屑米の餅

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晴れの日の餅は、水田で作った糯米でついた餅であったが、餅をつくときにはほかに陸稲や雑穀、屑米などの餅もついた。陸稲の糯米でついた餅は、オカ餅といい、水田の糯米よりも粘り気が少なかったが、オカ餅のあっさりした食感を好む人もいた。昭和五十年代になって陸稲の作付けが減ってきてからも、粳はやめたが糯だけ作っているという家もあったという。
 雑穀で餅についたものには、粟やキミがあった。粟、キミとも糯種を栽培し、糯米のときと同じようについた。粟餅は、粟だけでつくこともあったが、糯米を混ぜてつくこともあった。雑穀の餅は、そのまま焼いて食べるばかりではなく、はじめからカキモチやアラレに加工することを目的につくこともあった。とくに三月節供のときには、カキモチ用に青海苔などを混ぜてついた。餅をつくときに、里芋をひと臼に対し三個くらいすりおろして入れると、カキモチにしたときによくふくらんで口あたりが軽くなった。キミ餅も粟餅と同じようであったが、田植えやイノコのころによくついて食べたともいう。

写真4-47 クサノハナ団子作り
①米の粉を水でこね、適当な大きさにちぎって蒸籠に入れる


②よくこねた粉を蒸籠で蒸かす


③蒸かしたものを臼にあけ、ゆでた蓬を加えて杵で搗く


④小豆餡を入れてクサノハナ団子にまるめる


写真4-48 蓬・小豆餡の準備
①摘んだ蓬の根や枯れ葉を除く


②ゆでた蓬を水で洗いよくしぼる


③しぼった蓬をボッチにしてとっておく


④小豆をゆで、笊を通して小豆の皮をのぞく


⑤皮をのぞいた小豆を晒の袋に入れてこし餡を作る