粉をひく

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小麦や蕎麦は精米所や製粉所に粉にひいてもらったり、共同の水車小屋で粉にひいたりした。また、少量の粉をひくときには自分の家の石臼でひいた。石臼には、石臼を回すための挽き木をつけるが、多摩市域でみられる石臼は、穴のあいた添え木を竹のたがで締める形式をとっており、臼の目は六分割である。

写真4-49 石臼と木の台


図4-21 石臼の目

 粉をひくのに、上にあいている穴に穀物を入れて臼を回すが、一度にたくさんの穀物を入れてしまうと、臼が浮いてしまうので細かくならない。数粒ずつをゆっくりと入れるのがこつであり、おばあさんが粒を入れ、孫たちが二人ひと組になって臼を回すことがよくあった。単純な作業であって時間がかかるため、その時、おばあさんは孫たちが退屈しないように昔話を聞かせることもあった。石臼ひきは「臼をひくときゃ眠り目でひきゃる 団子食うときゃ猿まなこ」といわれた。石臼が楽にひけるように、挽き木を長い竹竿を使い、天井から吊す家もあった。

図4-20 石臼の挽き木を天井から吊す