米の粉の団子は、一月十四日の繭玉に作るくらいであって、ふだんは、ヒキエという屑米の粉やさつま芋の粉、キミやモロコシの粉の団子であった。
ヒキエ団子は、クダケとかゲマイという米を精白するときに出た砕けた米を石臼で粉にひき、水で練って蒸籠で蒸かし、木鉢でこねて粘りを出す。キミやモロコシも石臼でひいて団子にし、茹でて食べた。キミは一度ひいたくらいでは粉にならず、三回くらい石臼でひいた。このくらい手間をかけて作ると「キミの団子は綿をかむようにふわふわしておいしい」という。
さつま団子は、さつま芋を切り干しにし、それを石臼で粉にし、うどん粉を混ぜて団子にしたものである。
これらの団子は、繭玉のように丸くまるめるのではなく、細長くし、指であとをつけるように握った。また、モロコシ団子はヘラヘラ団子のような形にしたという。