1 伝統民家の生活

341 ~ 341
 ここ二〇年余の新移住者による人口の急増によって、現在、比率でいえば市域の大半の人はアパート・マンションなどの集合住宅に起居している。多摩ニュータウン区域内では特にその傾向が強い。また、一戸建住宅の場合でも比較的新しい建物は、間取りも住人の好みにあわせて個性化がなされている。生活形態も、電気・水道・ガス等の普及によって大きく変わってきている。衣生活・食生活同様に、人々の基本的生活である「住」にかかわる生活においても変化には著しいものがある。
 そのうちのがらりと変わった部分はまだ伝承にはなじまず、また、新移住者と在来の家々の住生活にも大きな断層のあることは認めながらも、新しい住生活といえども、基本的部分にはそれ以前からの性格が少なからず継承されていると思われるので、以下、かつて市域に展開していた伝統民家をめぐる住生活について述べてみたい。
 本節でいう伝統民家とは、少なくとも昭和二十年以前に建築され、昭和五十年ごろまで多摩市域において一般的であったかつての茅葺き屋根の民家をさし、その付属屋や屋敷地をも含んでいる。