お籠り

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多摩市域では、地区内で月並みの念仏以外に神仏を供養する念仏行事をお籠りと呼んでいる。お籠りと呼ぶことが最も多いのは地蔵尊の供養を目的とする念仏行事で、行事の日は地区によって少しずつずれはあるものの一例を除いて十月に集中している。以下確認できた地蔵のお籠りを上げると関戸上講中・下講中(ともに十三日=現行)、連光寺(れんこうじ)東部(十一月十四日=中断)、貝取地区の貝取講中(日時不明=中断)と瓜生(うりゅう)講中(九日=現行)、乞田(こった)地区の大貝戸(おおがいど)講中(十八日=現行)、落合地区の下落合講中(十六日=現行)、同中組(日時不明=中断)、同山王下講中(二十三日=現行)、和田地区の上和田(あげわだ)講中(二十三日=現行)、同原並木講中(七日=現行)、東寺方地区の原関戸講中(三日=現行)、一ノ宮講中(二十三日=昭和六十年ころより中断)となっている。地蔵信仰と念仏行事との強い結び付きが注目される。
 地蔵のお籠りのほか、和田地区の関戸並木講中と百草講中(ともに十月初申の日=現行)、東寺方地区の落川講中(十月三日=中断)では十月の庚申の晩に女たちがお籠りと称して念仏を唱えている。これらの地区では地蔵のお籠りがなく、それに代わって庚申の日が当てられている。
 乞田の永山にある阿弥陀堂では、十月十八日に乞田永山講中と大貝戸講中が共同して念仏供養するが、この行事のことを阿弥陀堂のお籠りと称している。