2 代参講およびその他の講

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 代参講とは、遠隔地の山岳聖地や社寺への参詣を、信仰仲間を代表する代参人に参詣させる講である。代参人は輪番制やくじ引きで選出され、講員が出し合った講金を旅費に当てることが多い。代参人は、身を清め出発し、神札や神水を持ち帰る。代参人が帰ると、地元ではお日待ちと称して講員が宿に集まり、代参人が預かってきた神札を受け取り、飲食をともにする。この飲食は代参人の慰労と講員の親睦娯楽の機会とされたが、その基本には、参詣により神威を得た代参者と講員各自が共食し、時を共有することで、その力を分け与えられよう、とする行為でもあった。
 市域で代参講の対象として確認できる山岳神社や寺院は多様である。これらの社寺の中には、地区の講員を、信仰と社寺経営の基盤と考え檀信徒としてみる場合もある。こうした檀那と檀徒関係より社寺側では、地元の講中の取締りと世話をする講元を講員中に選任したり、自ら配札に出向き結縁の維持を計ることも行われている。
 ところで、市内で確認できる代参講のすべてが連綿と継続しているかというと、そうではない。代参講の多くは農耕守護神として人々に親しまれてきたものであるが、生業環境の大幅な変化はかつての伝統を変化させる大きな要因となった。また、代参講は旧来からの村人をその主たる構成員とするところから、講組織じたいに閉鎖性がともない、講行事の継続性を希薄化することになっている。以下、多摩市の代参講の様子を見てみる。