太子講

454 ~ 455
多摩市内の住宅建築関連の同業者二三名(平成八年現在)によって、一月二十二日と七月二十二日に営まれる職人の講である。講は明治四十四年に旧多摩村の大工職を中心に組織され、以来関連業者を集めて欠かさず続けられてきた。この日は、講員の家を廻り宿として「聖徳太子」と墨書された掛軸を全員で礼拝し、その後、一律に費用を出し合い飲食をした。
 昭和四十五年に講員の一人が、一尺ほどの聖徳太子の立像を入手したことを契機に、当時の講の代表者の菩提寺である和田地区の真言宗高蔵院の境内に間口半間ほどの太子堂を建立し安置した。それ以来、縁日には同業者の講員が寺に集まって太子堂を開扉し、灯明およびお神酒と供物を捧げている。また、一月二十二日には、講で受け継ぐ「聖徳太子」の掛軸を本堂に掛け、住職の読経による法楽を催している。法要が終ると寺の客殿または市内の飲食店を会場に飲食を行うことを習わしとしている。

写真5-54 太子講の開会


写真5-55 太子堂前での講の祭り


写真5-56 太子講連名帳


写真5-57 太子講支出帳