多摩市域で確認できた稲荷以外の屋敷神
山の神様(大山隅神一件含む)(六例)、弁財天(五例)、霊神様(四例)、大六天様(三例)、琴平社(二例)、武州御嶽山(二例)、水神様(二例)、天満宮(一例)、金神(一例)、オシャモジ様(石神)(一例)、井戸神(一例)、御諏訪様(一例)、八幡様(一例)、山中権現社(一例)、宗五郎様(一例)、三峰社(一例) |
〈オシャモジ様〉落合地区唐木田の高村家で祀る。昔、重い風邪にかかった孫娘を持つ老婆に、石神様に供えられたお米を粥にして、孫に与えるように夢でお告げがあった。夢に従うと娘は食欲を取り戻し、老婆はわずかに米粒が着いたしゃもじを石神様に供えると、更に元気になった。そこで、病人のいる家ではこぞってしゃもじを奉納し皆元気になった。村人は老婆のことを社守さんと呼び、社(やしろ)をオシャモジ様と呼ぶようになった。老婆と孫娘の子孫は「オシャモジ講」といって風邪のはやるころ一族が集まって供養を続けるようになった。その子孫とは唐木田の高村姓と古沢姓の一〇軒ほどで二月三日に毎年、講を行ってきた。今は講も行われなくなり石神様を所有地内に祀ってきた高村家のみが、毎年新しいしゃもじを祭日にお供えするだけになってしまっている。
〈お諏訪様〉関戸地区の小川家で祀る石祠。天明のころたいへんな水不足があり、それを祈願しこの祠を祀った、と言われている。八月二十六日を祭日としお神酒と米・卵をお供えしている。石祠には「天明二年夏吉日 願主相沢了栄」とある。
〈御嶽神社〉東寺方地区の杉田家では山林を経営していたので、山のたたりを防ぐため御嶽神社を祀った。
〈弁財天〉落合地区の寺沢家では養蚕の神様として弁財天を祀った。
〈霊神様〉一ノ宮地区の太田家は霊神様を祀る。当家は江戸時代から神官を勤めてきた。そんな関係で先祖の誰かが霊神として祀られたのではなかろうか、といわれている。