落合地区のA家では、神棚を座敷の正面に祀っている。棚には年神、天照大神宮、弁財天、エビス、稲荷を配している。神棚には庭から取ってきた、榊を上げている。茶の間の柱には火の神様である荒神様を祀っている。荒神様には暮れに市で買ったダイコンジメという注連飾を飾っている。正月には赤いゴヘイ、松、お供え餅、灯明をあげる。月初めには庭の松を上げたりもしている。
暮れの二十八日ころに年神様、荒神様、水神様にゴヘイを上げる。年神様には白、荒神様には赤、水神様には青のゴヘイである。お供え餅は神棚、床の間、荒神様、稲荷様に上げる。暮れの二十八日には大きなお供えのほか笊に米三合を入れその上に里芋を一二個並べ昆布をのせ、年神様に供える。井戸には水神様がいるとして青いゴヘイを立てる。
乞田地区のB家では昭和五十四年に主屋を区画整理で取り壊したが、その主屋の座敷に神棚を祀っていた。神棚には大神宮、年神、エビス・大黒を祀っている。大神宮は神札でエビス・大黒は木像である。B家では年神の棚は作らず、輪切りにした大根にゴヘイを立てて神棚に上げている。一月二十日と十月二十日のエビス講には神棚にお膳を供える。荒神様は、台所の炉近くの柱に祀っており、暮れには太めの注連縄に五、六本のゴヘイを挿したものを飾る。井戸には井戸神様の青いゴヘイを上げる。
和田地区百草のC家では、座敷に神棚を祀る。棚には中央に伊勢神宮・明治神宮の神札を置き、回りに年神様のゴヘイ、鎮守の十二神社・愛宕神社・百草八幡、武州御嶽神社、川崎大師、榛名神社、日枝神社などの神札や護摩札を配している。エビス・大黒は居間に祀り、正月二十日に魚の向きを反対にし、枡に金をいれたエビス膳をお供えする。台所の柱には「奉鎮祭火産霊神火災防除 御食津神 水波能売神」の御札を貼っている。
一ノ宮地区のD家では、座敷に神棚を祀る。棚には明治神宮、天照皇大神宮、小野神社、靖国神社の神札類を配している。エビス・大黒の木像は茶の間に小さな祠で祀られ、十月と正月二十日のエビス講には金をいれた枡とエビス膳が供えられている。
写真5-62 繭玉を飾った神棚(南野)
写真5-63 神棚
写真5-64 エビス棚
写真5-65 荒神棚
写真5-66 正月の飾りをした神棚