元旦には祝頭フギリという行事を行う。これは日中(午前中)に住職が本堂で新年の経をあげるもので、檀家は呼ばない。檀家は正月三が日の間に新年の挨拶に来る。
二月十五日には涅槃会(涅槃講ともいう)を行う。本堂に涅槃図を掛け、その前で経をあげている。二〇年位前までは涅槃会に際して涅槃団子を作った。これは五色の餅の粉を練って細長くしたものを五本作り、それを一つに束ねてねじって切り分けたもので、これを本堂に下げた涅槃図の前に膳を作って供えた。また参詣した檀家がこれを頂いて帰った。現在は檀家の参詣はほとんどない。
四月八日の花祭りには本堂の前に花御堂を作って誕生仏を出し、甘茶を用意しておく。日中には近所の檀家が三々五々訪れるが、最近は少なくなった。
八月十一日には施食会(せじきえ)を行う。この日は檀家に通知を出し、全檀家が集まることになっている。この日に集まる僧は毎年一八~二〇人で、多摩市の曹洞宗の寺院の他、八王子市の由木、府中など教区を同じくする寺の僧が集まる。施食会は午後から行い、本尊の前に施食壇を作り、法話を行った後、集まった僧全員で塔婆に経をあげる。檀家は塔婆を受けると墓に立てて帰る。盆は八月十三日が迎えで十五日が送りである。寺では十五日に盆の経をあげ、その他の日は朝の読経のあと檀家を回って棚経をあげている。十三日と十六日には墓参りが多く行われる。
境内の地蔵堂では十月十三日にお籠りがあった。これは貝取講中が五穀豊穣を感謝して行うもので、さつま芋、人参など自分の家でできた作物を持ち寄って供えた。夜には灯籠を灯して、住職が経をあげた後に皆で念仏を唱えた。現在の地蔵堂の祭りは十月十三日の夜に住職が経をあげている。
写真5-75 大福寺地蔵堂