年中行事の食物

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年中行事によっては、たとえば十一月四日・十四日・二十四日のように「大師粥」とよばれるだけで儀礼はほとんど記憶されておらず、そのときに用意する食物のみが伝えられている行事もある。そのくらい年中行事と食物は結びついており、それがハレの日の楽しみであった。一日、十五日や年中行事の日の主食は、ふだんの麦飯ではなく、カワリモノであった。カワリモノには、うどんや蕎麦(そば)のような粉食、五目飯や小豆飯などの混ぜご飯、饅頭(まんじゅう)やぼた餅のような甘いものなどがあった。正月や三月の節供には餅をつく。餅はハレの日の食物の中では最上のご馳走であった。