太陽暦と供物

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太陰太陽暦から太陽暦に変わってから、年中行事の日取りは、太陰太陽暦のころよりも早くなっている。三月節供の菱餅の蓬(よもぎ)、五月節供の柏餅の柏の葉や菖蒲などは、太陽暦では時期的に間に合わない。柏の葉は、商店から乾燥した葉を買う家が多い。菖蒲は、省略していた家も多く、乞田地区永山のある家では、五月の節供に菖蒲は使わなかったが、近年、花屋やスーパーマーケットで節供の時期に売るようになったので、菖蒲を用いるようになったという。
 行事で用いる供物は初物が多い。一月遅れで行う盆の西瓜(すいか)や南瓜(かぼちゃ)、太陰暦で行う十五夜の里芋などがそうであった。里芋は畑に行って、鍬で探ってまだ小さいものを取ってきたという。イノコ(亥の子)のぼた餅も新米がようやく間に合うころだという。
 このようにみていくと、年中行事が多摩市域の自然とたいへん深く関わり、自然の恵みに感謝して利用しながら続けられてきたことがわかる。