大晦日

509 ~ 511
三十一日は、府中市の大国魂神社に晦日市がたつ(写真6-8)。晦日市では、オザッキ(お雑器)やオミキノクチ(お神酒の口)など神棚で用いる品々を買う。これらは、毎年、新しい物に買い替える。そのほか、冬用の衣類や履物、食品、農具なども買った。晦日市に行くのは男の仕事であった。市では、まず始めにメナシカゴとよばれる背負い籠を買い、そこに購入した品々を入れた。子どもに凧や鞠(まり)を買う。凧が壊れないようにメナシカゴの上に括り付けて帰った。

写真6-8 大国魂神社の晦日市(昭和39年)

 和田地区では、この日、山からカツンボの木を切ってきて、家族が三が日の間使う箸を作ったという家もあった。
 前日までに餅つきや正月飾りはすんでいるが、正月のオセチを作ったり、掃除をしたりと、三十一日はなにかと忙しかった。それでも夜には、家族そろってミソカソバを食べ、ミソカッパライをすませると、あとは静かに除夜の鐘が聞こえてくるのを待ったという。ミソカッパライは、年末にオカマジメとして配られる幣束であって、これで家の中を祓い、家族の頭を祓ってから、外の辻に刺しておく。

写真6-7 ミソカッパライ


図6-5 観音寺のミソカッパライ