年始参り

514 ~ 514
元旦は、まず近くの神社に詣で、そこから寺へ米を持って年始に行った。そのあと、近所の家へ年始の挨拶に回った。
 親戚への年始は、二日から五日くらいの間に行った。親戚が年始に来る日が決めてあって、その日をオセチの日とよぶ家もある。乞田地区永山のある家では、オセチの日が五日であったが、年末には家族のための簡単なオセチを作り、四日に来客のためのオセチを作った。この家では、年始客の一人一人に膳をつけるが、献立はほぼ毎年決まっており、煮しめ、きんとん、昆布巻き、魚、ヌタ、黒豆、羊羹、みかんであるという。
 四日は、坊主の年始といい、寺の住職が檀家へ年始に回る日である。たとえば、乞田地区の吉祥院から年始にくると、まず、ジョウグチで小僧が「吉祥院ご年頭」と大きな声で叫び、その声を聞いて家族が出てきて新年の挨拶をかわしたという。また、「坊主に正月飾りをくぐらせるな」といって、四日の朝のうちに正月飾りや門松をはずしてしまう。門松をはずしたあとには、松の先端の一部をさし、オニウチマキをするところでは、薪で三方を囲っておく。はずした正月飾りや注連縄、門松などは、子どもたちが集めて歩く。これらを持ち寄って、セーノカミの小屋を作った。