仕事始め

514 ~ 515
四日を仕事始めという。落合地区中組のある家では、まず、田へ行って三本鍬で四方から田を起こし、中に幣束を結んだ篠竹を立てる。そこに、米を半紙にくるんだオヒネリを供え、「今年も豊作でありますように」と祈った。次に畑へ行って手鍬で土を起こし、同じことをした。
 山始めは、四日に限らず、山にクズハキに入ったときにした。鎌であたりを刈り取り、幣束を立て、竹の筒に入れた酒とオヒネリにした米を供えた。ほかにも、その季節の初めに薪の切り出しに入ったときにも山始めの儀式を行った。
 四日以外を仕事始めにしている家もある。乞田地区永山のある家では十一日が仕事始めであって、この日までは鍬は使わなかった。しかし、十一日まで遊んでいるわけにもいかず、麦踏みや縄ない、農具の手入れなど、鍬を使わない仕事をしたという。