六日は六日年越といい、夕食には年越蕎麦を食べた家もあった。また一ノ宮地区のある家では七日を七日正月とよんだという。
七日は七草といって、七草粥を作って食べた。七草は、一般には、「芹(せり)、薺(なずな)、御形(ごぎょう)、はこべら、仏の座、すずな、すずしろ、春の七草」とうたわれるが、市域では、かならずしもこれらの七種類を入れたわけではない。野に出て摘むのは芹や薺などであり、そのほかに大根やほうれんそうなどの野菜を入れてオジヤにした。餅をくだいて入れる家もあった。呼称は七草粥であったが、味噌で味をつけたオジヤにする家も多い。この日は味噌の使い始め、オジヤの作り始めだともいわれており、七日までは、味噌汁を作ったり、オジヤを作ったりはしなかったという。家によっては醤油で味をつけることもあった。
七草粥に入れる菜を刻むときには「七草なずな トウドの鳥が渡らぬうちに ストトントントン」と歌った家もあった。
七日は、その年初めて爪を切る日でもあった。茶碗に水と芹や薺を入れ、爪を浸してから切った。こうすると爪が膿(う)まないという。