2 春から夏へ

522 ~ 523
 二十日正月が終わると大人も子どもも正月気分はすっかり抜け、ふだんの生活に戻る。田畑の仕事や養蚕が忙しくなるのは四月からであり、それまでは、炭焼きやメカイ作り、藁仕事、農具の手入れなどに精を出す。二月から四月初めまでは、お日待ちや代参講もしばしば行われた。三月と五月の節供は、特に初めての子どもが生まれた家では、親戚や近所の人々から祝福を受け、その家のできる範囲ではあるが、盛大なお祝いをした。
 四月末には、大掃除があった。これは、蚕の病害予防のためであって、年末の大掃除と同じような大がかりなものであった。大掃除が終わると、養蚕と田畑の仕事が本格的に始動し、忙しい毎日が続く。養蚕、田植え、麦刈りの合い間の植田上がりの祝いや蚕日待ちが一息つける休日であった。