五月五日は府中市の大国魂神社の祭礼である。若い衆は、五日の夜、暗闇祭(くらやみまつり)に出かけて楽しんだ。一ノ宮地区の小野神社は大国魂神社の一之宮であって、毎年、神輿が暗闇祭に参加した。「一ノ宮の神輿が行かないと祭りが始まらない」といわれており、一ノ宮地区では小野神社の秋の祭礼と同様の忙しさである。小野神社の氏子には、暗闇祭の中での役があるので、実際に神輿を担ぐことは近隣の講中へ頼んだ。五日の朝、一ノ宮地区の青年が金棒を持ち、講中迎えといって頼んである講中へ迎えに行く。昼過ぎに神輿が大国魂神社へ向かって出発し、夕方五時ころに府中市のお旅所に着いた。小野神社の神輿は道中神輿であるので、大国魂神社の中には入らなかった。かつては武蔵総社は六所とも神輿を出していたというが、次第にやらなくなり、最後まで神輿を出していた一ノ宮地区も昭和三十年代までにやめてしまった。