祝いの席(江戸)

552 ~ 553
四家族と二軒の家の子どもが、祝いの席に呼ばれている。四家族の関戸・青木葉(おうきば)・和田とは多摩市内の地名であるが、親戚を指し示しているのであろうか。今日でも、親戚などのことを地名で呼ぶことは一般に行われていることである。
 そこの祝いの席では、酒二升(二〇〇文)、鰯(いわし)五〇匹(一五四文)、昆布(一六文)、豆腐二丁(三二文)、酢二合(一六文)、白米、餅(糯(もち))、粳(うるち)二斗四升、小豆二升、酒(二四文)、油一合、白米少々四八文、などかかっている。
 江戸時代に、幼い子どもが、三歳まで無事に成長したことは、家人にとっても地域の人々にとっても、大きな喜びであったことと思われる。今日とは比較にならない栄養の点や医療、衛生のことを考慮すれば、この三歳の祝いに対するA家の心もちが伝わってくる。