年代は少しくだるが、やはりA家の史料に、文化六年(一八〇九)六月晦日の「源五郎祝覚帳」がある。これは何歳の祝いのものであるかは不明であるが、鰹節一つが二名、白米二升と鰹節一つが一名、昆布一名、これらの四名は「村」と書かれているので近隣の者である。他に、白米二升と鰹節一つが三名、白米二升が一名、白米二升と苧が一名、綿入れ一つが一名、一重もの(単衣)一つが二名、以上一二名から贈られている。ここで注目したいのは、金銭が贈られていず、すべて物が贈られていることである。白米を贈っていることから考えると、出産の祝いであるかも知れない。
写真7-3 源五郎祝覚帳
写真7-4 文化六年源五郎祝覚帳(表紙)