嫁入りの道中

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嫁入りの行列は、たいがい夕方のことで、村内の場合はだいたい五時ころに出発する。暗い場合は提灯に灯を灯して出かける。嫁につき添って行くのは、双方の仲人、嫁方の親類、嫁の兄弟などである。嫁の両親は同伴しないものだったが、昭和十年代後半には両親も同伴する例が見られるようになった。少し遠いところでは、途中で嫁が衣裳替えして盛装するのであるが、多くは婿方の仲人の家が宿となる。もし仲人の家が婿方の家より遠方にある場合はもどるのを忌むので、婿方の家より手前の親戚の家が宿となる。あるいは、迂回して同じ道を通らないようにする。婿は嫁が来ても途中まで迎えに出ないが、婿入りの場合は嫁は迎えに出るという。

写真7-20 嫁入り行列(昭和39年)

 この行列は徒歩で行われたが、昭和三十年代に入り結婚式場で結婚式が行われるようになると行われなくなった。