婚家と実家とのつき合いは、嫁の両親が健在なうちは毎年盆暮のあいさつをし、お年始といって新年のあいさつにも訪れた。その他のつき合いには、祝儀・不祝儀・仕事・相続・位牌(いはい)分けなど、いろいろあった。嫁の実家では、出産祝いに、お七夜に木綿の着物、米、昆布、麻、鰹節などを届ける。宮参りには着物、節供にはお雛様、鯉幟、正月には羽子板や破魔弓を贈った。七五三や入学にも祝いを贈る。
農繁期には、里に手伝いに行った。嫁だけではなく、婿も手伝いに行くことがあった。それも、こうしたことは結婚後三年から四年くらいまでのことである。
里の親がなくなると、形見わけとして衣類などをもらった。親が亡くなったときには、紙位牌を葬式のときにいただいて帰る。それを婚家に持って帰り、小机などにおいて、四九日間は毎朝線香と水を供えた。供えた水は、必ず夕方に捨てなければならなかった。紙位牌は、四十九日が終わると、仏壇の中に納めた。