目次
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民俗編
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第七章 誕生から死まで
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第四節 老齢期と死への思い―死との出会い―
1 死とその周辺
583 ~ 583
人の死は、常に他人(ひと)の死である。したがって、死に関する儀礼は、生き残ったものたちの儀礼であるともいえる。人の死に遭遇すれば、自らの死と生とに直面する。そのことはいつの時代でも、誰でも同じであろう。
地域社会で生きてきた人々は、クミアイなどの地域の人々の手で送られる。葬儀には、普段使われているのとは別の火が用いられ、死者の寝方、湯潅などの湯のつくり方など多くのことが日常の生活とは逆に行われる。