野辺送り

587 ~ 591
ノオクリ(野送り)とかノベオクリ(野辺送り)という。出棺してから墓までは近道はしない。先頭に、鉦と鑼(どら)、六道、四本旗、位牌、膳、天蓋、棺、蓮の花と続く。葬列の順序や道具は家や地域によって多少異なる。鉦と鑼は講中のものが持ち、歩きながら鉦と鑼を打ち鳴らし、ナンマイダンボーと唱えながら歩く。旗は竹に布をつけて僧に経文を書いてもらったもので講中の者が持つ。位牌は施主、膳は施主の婦人が持つのが一般的である。六道はミノ竹を切って先を尖らせ、輪切りにした大根を剌してその上に蝋燭(ろうそく)を立てたもので、道の辻に剌しておく。蓮の花は、講中の者が持って歩く。一般の人は墓まで行かないで途中で引き返す。竜頭は、家格の高い家で使用したという。墓では火をたいて葬列を迎える。埋葬は一切穴掘りにまかせ、遺族近親者は土の塊を穴に投げ入れるのみで帰る。また、土地によっては、松明や穴掘り道具を持った穴掘りを先頭にして、葬列が墓に行くところもある。穴掘りは棺に巻いた晒(さらし)を取り除き、天蓋、幡などとともに埋めて晒は分け合う。野辺送りに参加した者のうち、遺族などは草履を辻などに履き捨てたりする。一部の土地では頭につけていた魔よけ(三角の紙に梵字を書いたもの)を捨てて帰る。
 庭先に清めの祓いをする者がいて、お祓いをする。次に、用意してある塩で手を洗い、縁側に貼ってある逆さの臼の絵に腰を下ろしてから家に入る。

写真7-26 穴掘り


写真7-27 墓標を書く


写真7-28 小天蓋


写真7-29 棺をザシキから出す


写真7-30 野辺送り
これらの写真は、昭和31年落合地区山王下で撮影された葬儀関連のもの。


写真7-31 本膳


写真7-32 葬式の祭壇(手前にハンダイ)


写真7-33 出棺の際庭を左回りに回る


写真7-34 穴掘りの当番板
落合地区山王下。昭和40年代前半まで使われた。


写真7-35 葬儀穴掘覚帳(和田第一常会)
穴掘りの記録は穴掘覚帳といわれる帳面に記した。


写真7-36 葬儀穴掘覚帳


写真7-37 数珠・鉦・撞木穴掘人夫控帳
和田中組講中が所有している念仏講の際に使われる用具など。


写真7-38 鎌倉街道での野辺送り(昭和38年)


写真7-39 野辺送り(貝取地区瓜生)