1 現代の子育ての儀礼(アンケート調査から)

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 新しく多摩市の住民となった人々の間では、伝統的な人生儀礼(通過儀礼)はいったいどのように行われているのであろうか。『多摩市史叢書2』では、多摩ニュータウンの建設に伴って転入された方々、あるいは、それとは別に新しい生活の場として多摩市に住むようになった方々の子育ての儀礼を探る目的で、アンケート調査を実施した。
 その結果を見てみると、儀礼を行う範囲が全体的に小さくなっており、家族中心のものとなっている。つまり、夫婦や実家の親が主体となって儀礼が執り行われ、地縁的で伝統的なクミアイなどの近隣組織が関与しない形態となっている。また、特徴的な点は、家族内でどの子どもにも比較的平等に儀礼が行われることである。つまり、誕生の祝いや節供などが長女であるとか、長男であるとかで区別されない。このことは、家族観の変化の現れだといえる。
 多摩ニュータウン建設以降に、新たに住民となった人々の意識を探ることを目的として、昭和六十三年度に、市立保育園にご協力いただき、当時、子育てを実際に行っている家庭の母親を対象にアンケート調査を行ったもので、有効回答は一〇五通であった。夫が昭和十四年生まれから四十二年生まれ、妻が昭和十八年から四十二年生まれで、最も多かったのが夫婦とも昭和二十二年から昭和三十四年生まれで、これが全体の八割をしめる。