1 多摩の語り手たち

601 ~ 603

落合地区下落合の尾根道にあった土公神。石碑の裏には「安政五年二月下落合講中」の銘がある。この土公神はニュータウン開発により白山神社境内に移転された。
(『写真集 落合の移り変り』より)

 多摩市では、個人や地域の有志や団体によって、郷土の歴史や言い伝えを書いた本や、古い写真を集めた写真集が出版されている。このような動きは昭和五十年代後半からであって、ちょうど多摩ニュータウンの開発が進んだころのことである。
 現在の多摩市で、昔話を多く語ることのできる語り手は、ちょうどそのころに自分で本を著した人たちである。孫や子どもに語った経験は乏しく、語るのではなく、書くことによって伝承者の役割を果たしてきた。このような伝承者によって多摩市では、多くの昔話が伝えられている。