昔、このあたりで大病がはやったことがあった。それは、鎌倉街道沿いにあった地蔵を地蔵山という寂しいところに移したためであって、地蔵をもとの場所に戻したところ病が治ったという。それからは村の地蔵として大切にするようになった。
(貝取 女 昭和生まれ)
神仏を移動した祟りの話は、このような昔の話ばかりではなく、近年でも新しく生まれている。たとえば、多摩ニュータウンの開発のときに稲荷のまつってある山を造成しようとしたところ事故が起きたというような話である。ほかに、大六天(だいろくてん)の祠に住んでいた蛇を殺した祟りで病気になった話(連光寺)や大木を切ったためによくないことが起きたという話もある。