六部を助けた話

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ある家に昔、六部(ろくぶ)が泊まったって。その六部が病み出して死んでしまったらしいんだ。その死に際に、小判をたくさん持っていてそれを出したらしいんだ。その小判がもとで、ああいうお大尽になったんだと。

(落合 男 明治生まれ)

 六部とは、本来は、六十六か国の一之宮に法華経を納めて歩く遊行者(ゆぎょうしゃ)であったが、近世になると実態は、廻国(かいこく)の名前を借りた放浪者であった。落合には六部塚があってそこにも六部の話が伝えられている(伝説の項参照)。